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高齢者の不動産取引で本人確認方法は何が必要?実際の書類準備や注意点も紹介

正木屋の不動産知識【売買編】

高齢のご家族やご自身が不動産の売買を検討されている際、「本人確認」は避けて通れない大切な手続きです。不正やトラブルを未然に防ぐため、高齢者の取引でも本人確認や意思能力の確認が厳格に求められています。しかし、どんな書類が必要なのか、万一認知症等で意思能力が疑われる場合はどうすればよいのか、疑問や不安を持たれる方も多いでしょう。本記事では、高齢者の不動産売買時に必要な本人確認の方法や注意点を分かりやすく解説します。どなたでも安心して取引を進められるようサポートいたします。


本人確認と意思確認の意義(高齢者の不動産売買における重要性)

高齢者の不動産売買においては、本人確認と意思確認が極めて重要です。

まず「犯罪による収益の移転防止に関する法律(犯罪収益移転防止法)」により、宅地建物取引業者は取引時に本人の氏名・住所・生年月日に加えて、取引の目的や職業なども確認し、記録を7年間保存する義務が課されています。同じ記録は帳簿と兼用できますが、保存期間には注意が必要です。

対象項目個人の場合補足
本人特定事項氏名・住居・生年月日公的書類で確認
取引目的・職業等申告による確認記録の必要あり
記録の保存期間7年帳簿保存とは異なる

また、高齢者は認知症などにより判断能力が低下していることがあり、意思能力の有無が契約の有効性に直結します。もし意思能力が欠けていると判断された場合、その契約は無効となります。たとえば、認知症の高齢者が売買契約を結んだ事例では、裁判所が意思能力の欠如を認定し、契約無効と判断されたものがあります。

さらに、「地面師」と呼ばれるなりすまし詐欺の被害を防ぐためにも、書類偽造や人物の演技による本人詐称を防止する厳格な確認体制が不可欠です。これには書類の複数提示や専門家による面談などが含まれます。


本人確認に必要な書類と確認ポイント(高齢者が準備すべきもの)

高齢者の不動産売買においても、本人確認は取引の安全性を確保するうえで不可欠です。まず、顔写真付きの公的書類が原則として求められます。たとえば、運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなどが挙げられます。マイナンバーカードはICチップ搭載でセキュリティ性も高く、住民票の住所変更が反映されているか確認しましょう。これらは単独での提示により本人確認が可能です。

一方で、顔写真のない書類を利用する場合(例:健康保険証、国民年金手帳など)は、複数の提示が必要です。国民年金手帳は令和4年4月以降新規発行されていないものの、現に交付されているものは当面本人確認書類として認められます。また、健康保険証を使用する際は、住民票や印鑑証明などの補助書類と組み合わせて提出することが一般的であり、いずれも発行後3か月以内の最新版を用意しましょう。

以下の表は、高齢者が準備しやすく、かつ実務上求められる書類を整理したものです。

書類の種類個別の特徴・注意点高齢者への配慮ポイント
顔写真付き書類運転免許証、マイナンバーカード、パスポート等。単独で本人確認可能。有効期限や現住所の記載を事前に確認する。
顔写真なし書類+補助書類健康保険証等+住民票や印鑑証明等(発行から3か月以内)。書類の組合せを事前に確認し、漏れを防ぐ。
国民年金手帳令和4年4月前に発行されたものは当面使用可。手帳をお持ちの方は相談先で使用可否を確認。

高齢者の方には、事前にどの書類が使えるかを整理し、不備がないよう丁寧に準備していただくことが重要です。必要に応じて、住民票の取得や免許証の更新、マイナンバーカードの記載内容確認を早めに行うよう促すことが、安心して取引を進めるためのポイントとなります。


意思能力が低下した高齢者との取引における対応策

高齢者が認知症などにより意思能力が不十分と判断される場合、不動産売買は無効となる恐れがあり、慎重な対応が求められます。そこでまずは「成年後見制度」によって本人を法的に支える方法を理解しましょう。成年後見制度には、事前に契約で後見人を定める「任意後見制度」と、判断能力が既に低下した後に家庭裁判所が選任する「法定後見制度」があり、それぞれ異なる特徴と活用場面があります。

具体的には、法定後見制度の中でも「成年後見」「保佐」「補助」の三類型に分かれます。後見は判断能力がほとんどない場合、保佐は著しく不十分な場合、補助は一部が不十分な場合に適用され、それぞれ代理や同意、取消などの権限の範囲が異なります。

家庭裁判所による後見人選任から不動産売却までの流れは、以下のようになります。

手続き内容ポイント
申立て家庭裁判所に後見開始の申立てを行います。申立書の他、財産目録や鑑定書等の書類が必要です。
後見人選任裁判所により後見人・保佐人・補助人が選ばれます。親族や専門家が選任され、監督者がつくこともあります。
不動産処分許可申立て居住用不動産を売却するには裁判所の許可が必要です。売却理由や価格妥当性を示す査定書などの資料添付が有効です。

成年後見人による不動産売却には一定の費用が掛かります。申立てに必要な収入印紙・登記手数料・鑑定費用などに加え、専門家が後見人に選ばれた場合は月額報酬が発生することがあります。

後見人がいない・選任まで時間がかかるといった場合には、高齢者の意志確認を慎重に行う対応もあります。具体的には、医師の診断書で意思能力の有無を補強したり、本人への丁寧な聞き取りを経て記録を残すことで、後日トラブル防止につながります。

対面・非対面(オンライン)での本人確認の進め方(高齢者向け実務対応)

高齢者のかたが不動産売買を安心して進められるよう、本人確認の進め方を整理しました。以下の表で、対面確認と非対面(郵送・オンライン)の比較をまとめています。

確認方法流れの概要高齢者向け配慮ポイント
対面確認司法書士や宅建業者が直接会い、公的書類の提示と本人への確認を行います。会場までの移動補助や事前説明の丁寧さが重要です。
非対面(郵送)書類を郵送で受領し、確認後に返送または補助書類を依頼。書類紛失防止のため、転送不要郵便などで送付します。
非対面(オンライン:eKYC)スマートフォン等で身分証と顔写真を撮影し、オンラインで本人確認を完結します(ホ方式など)。操作に不慣れなかたにはご家族のサポートを促すほか、オンライン操作の丁寧な案内が効果的です。

まず、対面での本人確認では、司法書士や宅地建物取引業者が面前で書類確認を行い、直接本人に確認する基本的な手順となります。この方法は高齢者には安心感があり、意思確認や不安への対応も柔軟にできます。

次に、非対面の郵送方式では、運転免許証やマイナンバーカードの写しを転送不要郵便で受け取り、適宜補助書類(健康保険証や住民票など)を依頼します。書類の紛失リスクを考え、追跡可能な郵送方法が推奨されます。

そして、オンラインでの本人確認(eKYC)は、スマートフォン等で公的書類と顔を撮影し、アップロードすることで本人確認が完了する方法です(いわゆる「ホ」方式など)。eKYCは対面や郵送より迅速で場所を選びませんが、高齢者には操作が難しいこともあります。操作に不慣れなかたには、事前に段階的な説明や家族によるサポートをお願いすることが望ましいです。

また、不動産業界ではeKYCの導入が進みつつあり、マイナンバーカードのICチップを利用した方式(JPKI方式)や、運転免許証のICチップを読み取る方式なども採用されています。これらは本人確認の精度やスピードを高める一方で、対応端末や操作環境の整備が必要です。

まとめ

高齢者による不動産取引では、本人確認や意思確認の重要性が年々高まっています。犯罪を未然に防ぐための厳格な本人確認や、認知症など意思能力の確認は、売買契約の有効性や安心な取引につながります。必要となる書類や手続きも明確に理解し、万が一意思能力が低下した場合は成年後見制度など公的な仕組みを利用することで、大きなトラブルを防ぐことができます。対面はもちろん非対面でのやり取りでも、手順をしっかり守ることで誰もが安全に手続きを進められます。不明点や心配事があれば、専門家に早めに相談することが安心への第一歩となるでしょう。

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